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★Graduation

 「仰げば尊し」は1884年「小学唱歌集」第3編に紹介されて以来昭和30年代頃まで小中高卒業式によく歌われ、中高年の日本人には特別の忘れ難い思い出の歌であり、私も毎年3月頃になると思い出し、生まれ育った故郷のスクールメイトや恩師や学び舎の事を懐かしく偲ぶのである。

原曲は1871年ニューヨークで出版された教本 “THE SONG ECHO” に掲載(初出)の[Song for the Close of School, 作曲はH.N.D, 作詞はT.H. Brosnan ]である(この事を2011年に一橋大学名誉教授が発見)。だが仰げば尊しとは歌詞の内容が異なる。

先生に対する尊敬と謝恩・立身出世に関することは原曲には全く歌われていない。
原曲で歌われていることは、「幼い頃から共に生活をし学んで来た級友(スクールメイト)・学び舎(スクールルーム)との別れを惜しむ、結ばれた絆は解かれ(さよならを告げ)夫々がこれから独自の道を歩む、別れても昔の友の事は決して忘れない、そして最後には神の御下で再会する・・・・」と言った内容である。

この違いは我が国では1872年に学制が公布され近代学校制度の先駆けとなった小学校の設立が始まり、学問の近代化・国の近代化がバックグラウンドにあって大槻文彦その他の共同作詩者が国の方針に沿って教師への謝恩・立身出世と言った内容を盛り込んだのであろうと想像される。


ところで、ここにもう一つの「仰げば尊し」がある。
米国の歌手
Susan Osbornが歌う Graduation である。映画「地球交響曲」第三番*1で歌われていてメロディーは同じだが、歌詞は全く異なる。

susan.jpg
http://www.youtube.com/watch?v=YEe4w4Imo9w

「我々人類をを含む他の全生命体を包容する母なる生命体である掛替えのない惑星地球、それは太陽を周回しながら、いくつもの銀河を通り抜け、果てしない宇宙へと旅する船である・・・」と言う壮大なスケールの歌である。 「友であろうと見知らぬ敵であろうと、我らはみな共に旅する道連れであり、生と死との終わりのない循環を通して進化していく・・・我々はこの太陽系の中にあって、歓びと悲しみ、笑いと恐れを分かち合いながら、この命の学校(地球)で共に歳月を過ごす、日が昇り沈むこの地球そして今、日々の美しさを分かち合い、決して忘れはしない・・・」と歌っている。

彼女の澄んだ美しい声、心の琴線に触れるような慈愛に満ちた歌い方、それに宇宙を漂う様なゆったりとした神秘的な気持ちにさせてくれる演奏である、実に素晴らしい。

「圧倒的に美しく慈愛に満ちたこの声に心地よく包まれる。気高く美しく大いなる愛に溢れるこの水の惑星ガイアは人と同じく意識を持っている。私達は今までたくさんの恩恵を受けて来た。私達は何をお返し出来るのだろう・・・愛と感謝の祈りを・・・」と評している方も居られる。


注:
*1 映画『地球交響曲(ガイアシンフォニー)』とは、イギリスの生物物理学者ジェームズ・ラブロック博士の唱えるガイア理論、 「"母なる星地球(ガイア)"は、それ自体が一つの大きな生命体であり、我々人類は、その大きな生命体の一部分として、他の全ての生命体と共に、今、ここに生かされている」という考え方に基づき、龍村仁監督によって制作されたオムニバスのドキュメンタリー映画シリーズ。
美しい映像と音楽、珠玉のことばの数々によって織り成されるドキュメンタリー映画 『地球交響曲』 は、環境問題や人間の精神性に深い関心を寄せる人たちのバイブル的存在となっており、草の根の自主上映を中心とした上映活動だけで、これまでに5600回以上上映され、延べ230万人に上る観客を動員、その数は今なおとどまることなく、かつてないロングランヒット作となっている。(地球交響曲HP) GAIA SYMPHONY Official Website by JIN TATSUMURA|ガイアシンフォニー
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