★2つの太陽を持つ惑星発見!
Fig.1 惑星Kepler-16b(手前)から見える大小2個の恒星(NASA’s Image)
Fig.2 惑星Kepler-16b(黒い点)と大小2個の恒星(NASA’s Image)
‐発表記事に多少の解説(補遺)を付け加えた‐
2つの「太陽」を持つ太陽系外惑星が米航空宇宙局(NASA)のケプラー(Kepler)宇宙望遠鏡の観測(NASA's Kepler Mission*1)で見つかり、論文が16日付の米科学誌サイエンスに発表された。
‐SF映画「スター・ウォーズ」に登場するような、二つの太陽を持つ惑星が実在することが明らかになったのである‐
太陽系外の惑星*2を観測しているNASAのケプラー(Kepler)宇宙望遠鏡*1を使い、惑星が恒星の前を横切って少し暗くなる現象を検出する手法(トランジット法)で観測、地球からはくちょう座の方向約200光年離れたK16という連星系で、惑星の存在を検知。
この惑星を「ケプラー16b」と名付けた。
惑星が手前に来るタイミング以外でも減光が起きていることを観測、この恒星がお互いの周りを回る連星であることがわかった。
ペアの2つの恒星を回る惑星は周連星惑星(circumbinary planet)と呼ばれ、その存在は理論的には何十年も前から予測されていたが、確実に発見された(直接観測された)のは今回が初めてのこと。
分析によると、
2つの恒星(中心星)の質量はそれぞれ太陽の69%と20%で、お互いの周りを「41日周期の風変わりな軌道で」ダンスをするように回っている。
惑星(Kepler-16b)はガスと岩石が半々で出来た土星とほぼ同じ大きさで、中心星の周りを229日周期で公転している。
恒星からの熱量が少ないため惑星(Kepler-16b)は冷たく、液体の水が存在できないなどの理由で、生物が生息できる環境(habitable zone)ではない。
中心星から惑星(Kepler-16b)までの距離は太陽~地球間の0.7倍程度で太陽~金星と同じくらい(約1億500万キロ離れた軌道)だが、中心星が太陽よりずっと小さいため、生命が住むには低温すぎる(表面温度が-73~-101度という極寒の世界)としている。(NASA・読売他)
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‐補遺‐
◆*2 我々の住む地球は天の川銀河系の中の太陽系内の1つの惑星。
◆宇宙(Cosmos or Universe)に存在する銀河(Galaxy)の数は1000億以上。1つの銀河の大きさは直径数千~100万光年におよぶ、そこに100万~1兆個の恒星が重力によって集まっている。
注:1光年(Light-year)とは光が1年間に進む距離≒30万km/秒 x 60秒 x 60分 x 24時間 x 365日≒9兆4千600億km
◆天の川銀河系(Milky Way Galaxy)は200億個もの星の集団、凸レンズの様な円盤状で直径10万光年。
◆我々の太陽系(Solar System)は天の川銀河系の中心から2万8千光年離れた位置にあり、恒星である1つの太陽を中心に8つの惑星とその衛星、無数の小惑星、更にその外側に太陽系を球状に取り巻いているオールトの雲(Oort Cloud )と呼ばれるガスやチリ等からなる。直径約30兆kmとも言われている。
◆恒星(Star)とは水素ガスを主成分とし、核融合によって自ら輝く天体、一方惑星(Planet)とは恒星の周りを回り光を反射している天体。
◆連星(Binary Star)とは2つ或いは3つの太陽(恒星)が1つの重心を中心にして回っているもの。
◆*1「Kepler Mission」とは
Fig.3 ケプラー宇宙望遠鏡(Kepler Space Telescope)(NASA)
ケプラー(Kepler)は地球型の太陽系外惑星を探すためにアメリカ航空宇宙局が運用している宇宙望遠鏡である。主製造業者はボール・エアロスペース社である。
ケプラーは3年半にわたって10万個の恒星の明るさを測定し、惑星が主星を隠す時に生じる周期的な明るさの変動を検出すること(トランジット法)を目標としている。
ケプラーは2009年3月6日にフロリダ州ケープカナベラル空軍基地からデルタ-IIロケットで打ち上げられた。 ケプラーの目的は、惑星系の構造と多様性を探ることにある。
具体的には、多数の星の明るさを測定することによって以下の点について明らかにすることである。
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