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★兄逝く

2013年2月13日、心の支えであった兄が突然他界し76歳の人生を終えた。
脳出血で突然倒れ・手術・一年間のリハビリの後、世を去った。

人の命は果敢なく空しい、がしかし、逝く者もあれば生を受ける者もある。つまり、世の中すべからく「諸行無常」である。この年余り、私の心はずっと悲しみに沈んだままだった

両親は既にこの世を去っており、今度は兄弟との悲しい別れである。2つ上の姉と私にとって、1960年代以降の兄は正に親代わりの存在であり心の支えであった。

地方の農政事業を指揮し名声を得た兄は豪放磊落・闊達で陽気な酒豪でもあった為か、多くの人脈とつながり多方面からの厚い信望を集めていた。

76歳とはまだ若い、平均寿命にも達していない。「人生の楽しみはこれから」という時に逝ってしまった。

「筆法」が得意であった兄は生前「写経」に没頭していて、掛け軸に限らず、けやきやひのきの板、さらには瓢箪といった物にまで克明にぎっしりと毛筆で「経文」を書き込み数多くの作品を残している。

手術後の兄は、死ぬまで殆ど「無意識」のような状態で病院のベッドで横たわったままであった。兄の人生は多くの苦労はあったにせよきっと「幸せ一杯」であったであろうと思う。兄と会う度、人に元気を与える普段の姿からその様な雰囲気がいつも見て取れたからである。がしかし、倒れてからのベッドでの一年間は恐らくやり残したことも多くあり、さぞかし無念であったに違いない。倒れる直前まで非常に元気で衰えなど全く感じさせずエネルギッシュに動き回っていた事からも、そう思えてならない。

「この世に命を与えてくれた両親、それに血を分けた兄弟姉妹」この「我々の代」は何れそう遠くない内にこの世を去る。そして次の代、つまり子の代、孫の代・・・へとまるで水が流れる如く静かに何事もなかったように引き継がれて行く。

死は誰にも必ず訪れる。脳細胞が壊れてその結果として訪れる人類の宿命である。しかし、人間は皆「心と魂」を宿しているが故に、日頃の成長過程で「愛が育まれ、絆が結ばれ」人の死を「悲しむ」のである。
しかし、いつまでも悲しみの中で沈んでいることは許されない。「Life is short and time is swift. Everything is transient.」。つまり、人生は短く時は容赦なく過ぎる、世の中すべからく「諸行無常」なのである。

(2014年3月)


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